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肘の後方が痛むタイプの野球肘
肘の後方が痛む野球肘は、大きく分けて2つのタイプに分けることが出来ます。
まずは、その一つ一つについて説明していきます。
肘の後方が痛むタイプ①肘頭窩インピンジメント肘頭疲労骨折
肘頭窩インピンジメント肘頭疲労骨折とは、繰り返し投球時に肘が伸ばされることで肘の関節を構成している骨同士が衝突し疲労骨折を起こしてしまう症状です。
右の図のように、肘関節の後方は尺骨と上腕骨と呼ばれる骨が繋がり関節になっています。
そして、よく見ると尺骨という骨の先には肘頭と呼ばれる部分があり肘と伸ばしていくと上腕骨にある肘頭窩というくぼみに肘頭が納まります。
この部分で骨が衝突を繰り返すことで、骨に負担が何度も何度も加わり骨が疲労骨折を起こし痛むのです。
肘の後方が痛むタイプ②肘頭部骨端線離開
肘頭部骨端線離開は、成長期の子供にしか起こりません。
成長期の子供の骨には、骨端線といって骨が成長する部分があります。
そのため、肘の後ろに付く上腕三頭筋の牽引によって骨端線が引き離されてしまったり、上記のような骨が衝突することで骨端線が引き離れてしまい痛みます。
後方型野球肘になる原因
どうして、後方型野球肘になってしまうのでしょうか?
どのような理由により後方型野球肘が発生してしまうのかを紹介します。
投球フォームに対する誤った認識
当院に来院してくる野球肘で悩む子供にボールを投げるときにどのような意識を持って投げているかと聞くことがあります。
そのときによく聞くのが「肘を前に出して投げるようにしています」「肘を前に出しなさいと指導されました」といった肘を前に出す意識です。
この意識は、一つ間違えると後方型野球肘を助長します。
先程、後方型野球肘は肘を伸ばした際に骨同士が衝突することで発生するとお話しました。
では、肘を前に出して投げるとしたらどのように投げますか?
多くの方が、肘を深く曲げて肘を前に突き出すように投げるのではないでしょうか?
そうすると、その後ボールを投げるためには深く曲げた肘を伸ばしてボールを投げることになります。
本来は、肘を前に出す意識ではなく投球時に胸が張れて腕が遅れて出てくることで勝手に肘から出てくるのです。
これを肘だけで行ってしまうと良くないのです。
このような投球フォーム対する誤った認識が後方型野球肘を引き起こすことがあります。
誤った変化球の投げ方
最近の子供は、多くの変化球を投げます。
昔では、カーブやチェンジアップぐらいの変化球でしたが、最近の子供はカットボールやフォークやスライダーなど多くの変化球を投げるようになっています。
中でも、縦スライダーを投げる子供は後方型野球肘に注意が必要です。
縦に曲げる変化球を投げるときに、肘を伸ばす力を利用して投げる子供はとても多い印象を受けます。
この投げ方も後方型野球肘になる原因になります。
たしかに、肘の伸ばす力を利用すると誰でも縦の回転を掛けやすいため簡単に変化がかかるこの使い方をしてしまうのです。
このような安易な変化球が後方型野球肘を引き起こすことがあります。
野球肘後方型の治療
後方型の場合は、疲労骨折や骨端線離開など骨に支障をきたしてしまうケースがとても多いです。
そのため、骨に異常がある場合は固定をして骨の回復に努める必要があります。
骨の回復を促すために電気治療を行っていきます。
詳しい治療法につきましては、「野球肘を早期に根本的に治す治療法」に記載してありますのでご覧ください。
野球が出来ない期間をどう過ごすかがとても重要
野球肘になってしまい、ひどい場合には野球を休まなければいけない場合があります。
しかし、何もせずに肘の回復を待つのは、とてももったいないのではないかと当院では考えます。
野球が出来ない期間こそ、自分のカラダと向き合ういい機会なのです。
ボールが投げられない間に、自分の問題点(肩や背中・股関節の柔軟性の低下)を改善することで野球に復帰しても再発するリスクはなくなりますし、カラダが変わることでカラダの悪いクセや運動制限がなくなるため本来のカラダの使い方を取り戻し、練習してないのに球速などパフォーマンスが上がることもあります。