肘の痛み

野球肘内側型とは?種類・原因・治療を解説

このページでは、野球肘の中でももっとも多い内側型について詳しく説明していきます。
内側型といっても、筋肉を痛めるものや靱帯を痛めるものなど症状は様々です。
そのため、今回はそんな内側型の野球肘についての痛みが起こるメカニズムやどのようなものがあるのかを紹介していきます。

目次

野球肘とは?

野球肘とは、ボールを投げたときやその後に肘がズキズキと痛みます。
肘の内側や外側などを指で押したり、肘を反らせたりしても痛みを感じます。
状態が悪化していくと肘の曲りや伸びも悪くなる場合があり、運動に制限が出てきます。

肘の内側が痛むタイプの野球肘

肘の内側が痛む野球肘は、大きく分けて3つのタイプに分けることが出来ます。
まずは、その一つ一つについて説明していきます。

肘の内側が痛むタイプ①内側上顆炎

内側上顆炎とは、肘の内側につく筋肉が硬くなることで痛くなる症状です。
肘の内側にある内側上顆という部分には、肘を曲げたり指を動かしたりする筋肉がたくさん付いています。
そのため、筋肉に過度な負担がかかると筋肉が硬くなり付着部である内側上顆を引っ張り痛みが発生するのです。
内側上顆炎は、筋肉の付着部に炎症が起こった痛みです。
痛みの原因は筋肉です。

内側上顆炎の場合は、患部の状態にもよりますが野球の練習を行いながらでも治療を行っていくことで回復していくことが多い症状です。

肘の内側が痛むタイプ②内側々副靱帯損傷

内側副靱帯損傷とは、肘の内側にある靱帯を損傷する症状です。
肘関節の両側には、関節の側方への動揺性を制御している(横方向へ曲がらないようにしている)側副靭帯(そくふくじんたい)という組織があります。
ボールを投げた際に、過度な側方へのストレスが加わり靱帯を痛めてしまう場合があります。
発生機序として、一度の投球で痛める場合や繰り返しの投球によって徐々に痛める場合もあります。
痛みの原因は靱帯です。

内側副靱帯損傷の場合、練習を行いながら治すことは難しいです。損傷してしまった靱帯を修復させなければいけないため固定をします。
また、場合によっては完全に切れてしまった場合など手術になることもあります。

肘の内側が痛むタイプ③上腕骨内側上顆剥離骨折(骨端線離開)

上腕骨内側上顆剥離骨折(骨端線離開)とは、肘の内側の骨が剥がれてしまう症状です。
肘の内側にある内側上顆には、たくさんの筋肉は付着しています。
そのため、投球時に過度のストレスが加わると筋肉により骨が牽引されてしまい骨を剥がしてしまう場合があります。
子供の場合は、骨がまだ出来上がっていないため骨の成長する骨端核が引っ張られて骨端線が離れてします。
大人の場合は、骨は出来上がっているため骨の端が剥がされてしまいます。
発生機序としては、投げているうちにだんだん痛くなるのではなく、この一球を投げたら激痛が走ったということが多いです。
痛みの原因はです。

上腕骨内側上顆剥離骨折(骨端線離開)の場合、練習を行いながら治すことは難しいです。離れてしまった骨をくっつけなければいけないため固定をします。

内側型野球肘になる原因

どのようにして内側型野球肘になってしまうのでしょうか?
どのようなことが内側型野球肘を引き起こす原因になるのでしょうか?
3つのタイプを紹介させて頂きましたが、どのタイプも痛みの出る原因は一緒です。
後は、どの部分を痛めてしまうかというだけの違いです。
では、さっそく内側型野球肘が起こるメカニズムを紹介します。

内側型野球肘が起こるメカニズム

内側型野球肘が起こるメカニズムを知るためには、まず投球フォームが5つの動作に分けることが出来ることを知って頂きます。
どの動作でどのような負担が掛かるかを知ることが野球肘を治すためにとても重要になります。

投球フォームは5つの動作に分けられる

出典:The Five Phases of Throwing a Ball

このように投球動作は5つの動作に分けられます。

  1. ワインドアップ期
  2. コッキング期
  3. アクレーション期
  4. ディセレーション期
  5. フォロースルー期

この中で肘に負担がかかりやすいのは、アクレーション期です。

では、なぜこのアクレーション期に大きな負担が肘にかかるのでしょうか?

肘関節は、曲げ伸ばししか出来ないため…

腕が外に捻られるような大きな力が掛かる

投球動作において、アクレーション期では、腕が外側に捻られるような動きをします。
しかし、肘関節にはこのような捻る動きは備わっていません。
基本的に肘関節は、曲げるか伸ばすしか出来ません。
そのため、アクレーション期では肘関節に外に捻られるように強い力が加わってしまう場合があるのです。
それにより肘の内側には、筋肉によって引き剥がれるような力が働きます。
この力により、筋肉や靱帯・骨などを痛めてしまうのです。

これが、内側型の野球肘を引き起こすメカニズムです。

では、アクレーション期においてどうすれば肘が外に捻られるような強い力を減らすことが出来るでしょうか?

肩や背中の柔軟性が肘に掛かる負担を減らす

アクレーション期において、この腕が外に捻られるような動きを行っているのは肘ではなく肩や背中です。
肩や背中の柔軟性があることで、腕が外に捻られることを可能にし肘がかかる無理な捻られる負担を減らすことが出来ます。
逆を返して言えば、肩や背中の柔軟性がないと腕を外に捻られるような動きを行うことができません。
そのために、外に捻られるような力が肘にもろにかかってしまうのです。

これが、肩や背中の柔軟性の低下してしまうことで野球肘になってしまうメカニズムです。

なので、野球肘にならないためや野球肘を治すためには肩や背中の柔軟性はとても大切なのです。

内側型野球肘の治療

主な原因であるオーバースローでのピッチング動作は休止します。
投球後のアイシングを徹底して頂き超音波や電気治療などの物理療法で炎症を抑えて治療して行きます。

また、肩甲骨や肩関節・股関節といった柔軟性が低下することで肘の負担が増大してしまう部分のストレッチを徹底的に行って肘への負担を軽減させるフォームを作っていきます。

ABOUT ME
小林 勇太
葛飾区こばやし接骨院院長。柔道整復師の国家資格を保有。野球やサッカー・バレーボールなどのスポーツの現場で活動していたためスポーツ障害・外傷の症例経験が豊富。葛飾区こばやし接骨院の院長をしている小林勇太院長のブログです。