目次
有痛性外脛骨とは
外脛骨とは足の舟状骨という骨の内側に存在する過剰骨(普通にはない余分な骨)で、15~20%の人に認められます。
多くは骨の出っ張りがみられるだけですが、これに痛みを伴うような病態を有痛性外脛骨と言います。
有痛性外脛骨は若年性のスポーツ障害として数多く見られる疾患の一つですが、成人になって疼痛が発症することも少なくありません。
捻挫を契機として足部内側に疼痛が出現しますが、ときに明らかな誘因がなく痛みが生じることもあります。
足部内側には疼痛を伴う骨性の隆起が認められ、扁平足を伴うことが殆どです。
有痛性外脛骨の原因
足は、いくつかの小さな骨が組み合わさっています。
「舟状骨」と呼ばれる骨があり、この骨には後脛骨筋腱と呼ばれる筋肉の腱が付着しており、下腿の動きに対応できる構造になっています。
先天的に、この舟状骨付近に「外脛骨」と呼ばれる過剰な骨を認めることがあります。
外脛骨は女性に多く、両側性に認める頻度が高いと報告されています。
外脛骨は舟状骨の内側後方に位置しており、ちょうど後脛骨筋腱の付着部位に巻き込まれる形に存在しています。
外脛骨自体が、何らかの症状が誘発する訳ではありません。
しかし、下腿の運動に重要な腱が付着していることから推定されるように、過度の運動を行うと外脛骨が過剰に刺激を受け、痛みが生じます。
その要因として、足首捻挫や扁平足・回内足といったアライメント不良によって負担がかかり疼痛を生み出すと考えられています。
有痛性外脛骨の診断
有痛性外脛骨の診断は、問診や骨の出っ張り方などを確認して疑われます。
有痛性外脛骨の疑いがある場合には、単純レントゲンで診断することが出来ます。
その形体から3つに分類されており、最も多いのはタイプⅡです。
また、詳細を確認するために超音波やMRIを行うこともあります。
引用文献:標準整形外科学 第12版
有痛性外脛骨の症状
有痛性外脛骨は、足部内側に骨性隆起が認められ、同部に自発痛および圧痛を伴います。
また、運動時に疼痛が強くなる場合が多いです。
しかし、外脛骨があっても成人になるまで無症状のこともあります。
外脛骨を有するすべての方が症状を呈する訳ではありません。
この理由は、扁平足などが合併することで外脛骨に負担がかかり痛みの症状が増悪すると考えられています。
有痛性外脛骨の治療
まずは局所の安静を行い、鎮痛剤、電気療法などの保存療法で疼痛の改善を期待します。
炎症が落ち着いてきたら、足関節や足部の筋力強化や負担のかからない動きを獲得するためにリハビリを行っていきます。
また、足部のアーチが低下している方にはアーチをサポートするためにテーピングや足底板を使用することもあります。
基本的には、上記のような保存療法が選択されますが、症状が改善しない場合には外脛骨を摘出する手術を行う場合もあります。