骨挫傷とは?治るまでの期間・症状・骨折との違いを解説
「レントゲンでは骨折していないと言われたのに、なかなか痛みが引かない」
「足首をひねってから、普通の捻挫より痛みが強い」
このような場合に考えられるケガの一つが**骨挫傷(こつざしょう)**です。
骨挫傷は、一般的なレントゲン検査では分からないことがあり、MRI検査によって確認されることがあります。実際、膝の骨挫傷を調べた研究でも、単純X線では異常がなかった患者さんにMRIを行うことで骨挫傷が確認されています。
私はこれまで、膝や足首の骨挫傷をみた経験があります。
私がみてきたケースでは、膝や足首をひねった際に、骨同士が衝突するような力が加わって起きたと考えられるケースがありました。
また、一般的な打撲よりも強い痛みを訴える方がおり、痛みが改善するまで1か月前後かかったケースがあります。
ただし、骨挫傷の程度や部位、ほかの組織の損傷の有無などによって経過は異なります。
この記事では、骨挫傷とは何か、症状、原因、骨折や打撲との違い、治るまでの期間、MRI検査、早く治すために大切なことについて解説します。
骨挫傷とは?
骨挫傷は、強い衝撃などによって骨の内部に損傷が起きた状態です。
英語では「bone bruise」「bone contusion」などと呼ばれます。
「骨の打撲」と表現されることもありますが、皮膚や筋肉などの一般的な打撲とは損傷している場所が異なります。
骨挫傷では骨の表面が完全に折れているような一般的な骨折とは異なり、骨内部の海綿骨などに微細な損傷や出血・浮腫などが生じていると考えられています。
そのため、
「骨折していないから骨には問題がない」
とは限りません。
骨挫傷の原因は?
骨挫傷は、転倒やスポーツなどで骨に強い力が加わることで起こります。
私がみてきた膝や足首の骨挫傷では、関節をひねった際に骨同士が衝突するような力が加わって起きたと考えられるケースがありました。
特に膝では、受傷時に加わった力によって特徴的な場所に骨挫傷が生じることが知られています。骨挫傷の位置が受傷機転を推測する手がかりになる場合もあります。
ただし、すべての骨挫傷が骨同士の衝突だけで起こるわけではありません。
転倒、スポーツ外傷、交通事故、直接的な衝撃など、さまざまな原因があります。
骨挫傷の症状は?
骨挫傷では、
- 患部の痛み
- 押したときの痛み
- 歩いたときや体重をかけたときの痛み
- 関節を動かしたときの痛み
- 腫れ
などがみられることがあります。
私が実際にみてきた患者さんでは、一般的な打撲より強く痛みを訴えるケースがありました。
ただし、痛みの強さには個人差があります。
「痛みが強いから骨挫傷」「痛みが弱いから骨挫傷ではない」と、痛みだけで判断することはできません。
骨挫傷と打撲の違いは?
「挫傷」という名前がついているため、
「骨挫傷=普通の打撲」
と思われることがあります。
しかし、一般的な打撲では皮下組織や筋肉などが損傷しますが、骨挫傷では骨の内部に損傷が生じています。
そのため、見た目だけでは判断できないことがあります。
また、一般的な打撲だと思って経過をみていたものの、
「なかなか痛みが引かない」
「体重をかけると強く痛む」
といった場合には、骨挫傷など別の損傷が隠れていないか確認することも重要です。
骨挫傷と骨折の違いは?
骨挫傷と骨折は、どちらも骨に生じる外傷ですが同じものではありません。
一般的な骨折では骨の連続性が失われ、レントゲン検査で骨折線などが確認できることがあります。
一方、骨挫傷は単純X線では分からないことがあります。
骨挫傷についてのレビューでも、骨梁の損傷は骨皮質が保たれているため単純X線では検出しにくく、MRIが重要な検査方法とされています。
つまり、
レントゲンで骨折がない=骨挫傷もない
ということではありません。
骨折のなかでも、捻挫などと見分けにくいものに剥離骨折があります。剥離骨折については、こちらの記事で詳しく解説しています。
骨挫傷はレントゲンで分かる?
骨挫傷を理解するうえで、非常に重要なポイントです。
骨挫傷は一般的なレントゲン検査では確認できないことがあります。
実際に、外傷後の膝を調査した研究では、単純X線では異常が認められなかった患者さんでも、MRIによって骨挫傷が確認されています。
そのため、
「レントゲンでは異常がなかったけれど痛みが続いている」
という場合でも、症状によっては追加の検査が検討されることがあります。
骨挫傷の診断にはMRIが重要
骨挫傷の診断ではMRI検査が重要です。
MRIでは骨内部の変化を確認できるため、単純X線では確認できなかった骨挫傷を見つけられる場合があります。
国内の膝骨挫傷単独例を調べた報告でも、単純X線で異常がなく、MRIによって骨挫傷が診断されています。
したがって、
「レントゲンで異常なしと言われたから、痛くても大丈夫」
と自己判断しないことが大切です。
痛みが強い場合や、なかなか改善しない場合には整形外科で相談しましょう。
骨挫傷の特徴や検査、治るまでの考え方をまとめると、次のようになります。

骨挫傷はレントゲンでは分からないことがあり、症状が続く場合にはMRIなどの検査が必要になることがあります。また、痛みが改善するまでの期間とMRI上の所見が消えるまでの期間は同じとは限りません。
骨挫傷は治るまでどのくらいかかる?
骨挫傷で特に気になるのが、
「いつ治るの?」
ということだと思います。
私が実際にみてきた膝や足首の骨挫傷では、痛みが改善するまで1か月前後かかったケースがあります。
この経験に近い国内報告もあります。
膝の骨挫傷単独13例を調べた研究では、痛みが消失するまで3~7週間、平均4.2週間でした。またスポーツ復帰には5週間以上を要したと報告されています。
ただし、
「骨挫傷は1か月で完全に治る」
という意味ではありません。
骨挫傷の回復期間は、損傷の程度や場所、年齢、靱帯や半月板などの合併損傷の有無によっても変わります。
痛みが治ってもMRIには骨挫傷が残ることがある
ここは非常に重要です。
症状が改善するまでの期間と、MRI画像上の骨挫傷が消えるまでの期間は同じではありません。
外傷性の膝骨挫傷をMRIで追跡した研究では、3か月後にも68.2%、9か月後にも18.2%でMRI上の骨挫傷が確認されました。
別の系統的レビューでも、骨挫傷の臨床的な経過は一般に良好である一方、MRI上の経過には病変の種類などによる違いがあることが示されています。
そのため、
「痛みがなくなった=MRIも完全に正常になった」
とは限りません。
反対に、MRIに所見が残っている期間だけを見て「何か月も痛みが続く」と考える必要もありません。
骨挫傷を早く治すためには?
「骨挫傷を早く治す方法」を探している方も多いと思います。
しかし、骨挫傷を数日で治すような特別な方法があるわけではありません。
重要なのは、損傷している場所へ過度な負担をかけないことと、ほかの損傷がないか適切に評価することです。
痛みを我慢してスポーツを続けたり、強い痛みがある状態で無理に走ったりすることは避けましょう。
特に重度の骨挫傷では、早期から完全荷重に戻すことを遅らせるべきだとするレビューもあります。
ただし、安静や荷重制限が必要な程度・期間は損傷によって異なります。
自己判断で長期間まったく動かさないのではなく、医師などの指示を受けながら状態に応じて活動量を戻していくことが大切です。
骨挫傷では靱帯や半月板の損傷にも注意
骨挫傷がみつかったときには、骨挫傷以外の損傷にも注意が必要です。
膝外傷後の骨挫傷を調べた研究では、靱帯や半月板の損傷を伴う患者さんもみられました。
特に膝を強くひねったあとに、
「膝が不安定な感じがする」
「引っかかる感じがする」
「腫れが強い」
「体重をかけられない」
などの症状がある場合には、骨挫傷だけと決めつけず、整形外科で状態を確認することが大切です。
足首を捻って骨挫傷が起こることもある?
あります。
骨挫傷は膝だけに起こるものではなく、足首などでもみられます。外傷性骨挫傷についてのレビューでも、膝以外に足首など複数の部位で骨挫傷が報告されています。
私自身も足首を捻ったあとに骨挫傷と診断された患者さんをみた経験があります。
足首を捻った場合、
「捻挫だからそのうち治る」
と思われることがあります。
しかし、痛みが非常に強い場合や、なかなか改善しない場合には、骨折や骨挫傷など別の損傷についても確認が必要です。
骨挫傷で病院に行く目安
外傷後に痛みがあっても、すべてが骨挫傷というわけではありません。
一方で、次のような場合には自己判断で放置せず、整形外科を受診することをおすすめします。
強い痛みや腫れがある、体重をかけられない、関節をほとんど動かせない、変形している、痛みがなかなか改善しない、レントゲンでは異常なしと言われたものの強い痛みが続いている場合です。
骨挫傷は症状だけでは確定できません。
必要に応じてMRIなどの検査を受けることが重要です。
骨挫傷についてよくある質問
骨挫傷は骨折ですか?
骨挫傷と一般的な骨折は同じものではありません。
骨挫傷では骨内部の微細な損傷などがMRIで確認されることがありますが、単純X線では分からない場合があります。
骨挫傷は1か月で治りますか?
私がみてきたケースでは、痛みが改善するまで1か月前後かかったケースがあります。
また膝の骨挫傷単独例を対象とした国内研究では、疼痛消失まで3~7週、平均4.2週でした。
ただし、すべての骨挫傷が1か月で治るわけではありません。
骨挫傷はレントゲンに写りますか?
単純X線では確認できない場合があります。そのため、症状などから必要と判断された場合にはMRIが検討されます。
骨挫傷はMRIで分かりますか?
MRIは骨挫傷を確認するうえで重要な検査です。
骨挫傷ではMRIで骨髄内の特徴的な信号変化が確認されます。
骨挫傷は放置しても大丈夫ですか?
骨挫傷だけなのか、骨折や靱帯・半月板など別の損傷を伴っているのかを症状だけで判断することはできません。
強い痛みや腫れ、荷重困難、症状が長引いている場合などは医療機関で確認しましょう。
まとめ|骨挫傷はレントゲンで異常がなくても注意
骨挫傷は、強い衝撃などによって骨内部に損傷が生じた状態です。
一般的なレントゲンでは確認できないことがあり、診断にはMRIが重要になります。
私はこれまで膝や足首の骨挫傷をみた経験があり、ひねった際に骨同士が衝突するような力が加わったと考えられるケースがありました。また、一般的な打撲より強い痛みを訴え、痛みが改善するまで1か月前後かかったケースがあります。
ただし、回復までの期間には個人差があります。
さらに、痛みが改善するまでの期間とMRI上の骨挫傷が消えるまでの期間は同じではありません。
「レントゲンでは骨折していないから大丈夫」と自己判断せず、強い痛みが続く場合や症状がなかなか改善しない場合には、整形外科で適切な検査を受けることが大切です。
