足首捻挫のリハビリ方法|運動を始める時期とスポーツ復帰の目安を解説
この記事を監修している人:小林 勇太(柔道整復師保有)
こんにちは。「痛みのトリセツ」管理人のこばやし先生です。
足首を捻挫したあと、
「リハビリはいつから始めればいい?」
「痛みがなくなったらスポーツしてもいい?」
「捻挫を繰り返さないためには何をすればいい?」
と悩む方も多いと思います。
足首捻挫は痛みが軽くなると「もう治った」と思いやすいケガですが、痛みが減ったことと、スポーツに必要な足首の機能が十分に戻ったことは同じではありません。
私の接骨院でも、足首捻挫後には状態を確認しながら、可動域・筋力・バランス能力、さらにスポーツをしている方では走る・跳ぶ・切り返すといった動きを段階的に戻していきます。
この記事では、足首捻挫後のリハビリ方法とスポーツ復帰までの考え方を解説します。
足首捻挫にリハビリが必要な理由
足首捻挫後は、痛みや腫れ、一定期間の固定・活動量の低下などによって、受傷前と同じように足首を使えないことがあります。
そのため、痛みが落ち着いてきたら、状態に応じてリハビリを進めていくことが重要です。
足関節捻挫後の運動療法では、関節可動域、ストレッチ、神経筋トレーニング、バランストレーニングなどを組み合わせたプログラムが推奨されています。
リハビリでは主に、
① 足首の動きを戻す
② 筋力を戻す
③ バランス能力を戻す
④ 走る・跳ぶなどの動作を戻す
⑤ 競技特有の動きを戻す
という点を確認していきます。
ただし、全員がこの順番を完全に一つずつ終了させて進むわけではありません。
状態に応じて複数のリハビリを並行して行うこともあります。
足首捻挫のリハビリはいつから始める?
以前は「捻挫したらしばらく安静」という考え方も一般的でしたが、現在はすべての足首捻挫を長期間動かさないわけではありません。
足首外側の捻挫では、重症度に応じて装具やテーピングなどで保護しながら、段階的に荷重していくことが推奨されています。
また、運動療法も状態に合わせて早期から取り入れる考え方があります。
一方、重度の捻挫では短期間の固定が必要になることもあります。
つまり、
「捻挫して3日経ったからリハビリ開始」
というように日数だけで決めるものではありません。
痛み、腫れ、損傷の程度、歩行状態などを確認して開始します。
足首捻挫後に行うリハビリ
ここからは、実際に足首捻挫後に行われる代表的なリハビリを紹介します。
① 足首を上げる運動(背屈)
足首を上方向へ動かす運動です。
捻挫後に足首の動きが低下している場合には、状態を確認しながら可動域を戻していきます。
無理に強く動かす必要はありません。
痛みや腫れが増えるようであれば、運動量や方法を見直します。
やり方
- イスに座り、足首が90度になるように床へ置きます。
- かかとを床につけたまま、つま先を天井に向けてゆっくり引き上げます(背屈)。
- 慣れてきたら、チューブを足の甲にかけて引っ張り、抵抗をかけるとさらに効果的です。
-
ポイント ※脛腓(けいひ)靭帯を損傷している場合は、早期に行うと回復を遅らせる可能性があるため、状態を確認しながら行いましょう。
② 足首を下げる運動(底屈)
つま先を下方向へ動かします。
これも足首の動きを確認しながら行います。
捻挫の場所や程度によって避けたほうがよい方向があるため、強い痛みを我慢して可動域を広げようとしないことが大切です。
やり方
- イスに座り、足首が90度になるように置きます。
- かかとを上げた状態から、足先を地面に押し込むように下へ向けます(底屈)。
- 痛みが出ない範囲でゆっくり曲げ伸ばしを繰り返します。
③ カーフレイズ
立った状態でかかとを上げる運動です。
主にふくらはぎの筋力を戻していきます。
最初から片脚で行う必要はなく、
両脚 → 片脚
というように状態に応じて負荷を上げます。
歩行時に強い痛みがある段階で無理に行う必要はありません。
やり方
- イスに座り、足首を90度にセットします。
- つま先立ちをするように、かかとをまっすぐ上へ持ち上げます。
- 慣れてきたら「立って行う」ことで負荷を高めましょう。
-
ポイント ※かかとを持ち上げる際、足首が外側や内側にブレないよう「まっすぐ上へ持ち上げる」意識を持ちましょう。
④ チューブを使った足首のトレーニング
ゴムチューブなどの抵抗を使って足首周囲の筋力を戻していきます。
足首をさまざまな方向へ動かしながら、状態に合わせて抵抗を調整します。
「強いチューブほど効果が高い」というわけではありません。
痛みや動きを確認しながら負荷を上げていきましょう。
やり方
- 長座(足を伸ばして座る)になり、トレーニングチューブを足の甲に引っ掛け、反対側を誰かに持ってもらうか柱に括り付けます。
- チューブの引っぱる力に抗うように、足首を自分の方へ手前に引き上げます(背屈)。
やり方
- 両足の甲にチューブを括り付けます。
- かかとをつけたまま、チューブの抵抗に負けないように「足先を外側へ開く」ように動かします。
-
ポイント ※腓骨筋が弱いまま運動を再開すると、捻挫しそうになった瞬間に外側で踏ん張れず、再び捻挫を繰り返してしまいます。しっかり鍛えましょう。
やり方
- チューブを足の甲の内側に引っ掛け、横方向(外側)に引っ張ります。
- チューブの抵抗に負けないように、足首を内側へ引っ張り込みます。
⑤ 片脚立ち
足首捻挫後のリハビリでは、筋力だけではなくバランス能力を戻すことも重要です。
まず安全な場所で片脚立ちを行います。
安定してできるようになったら、状態に応じて難易度を上げていきます。
⑥ バランスディスク
片脚立ちが安定してできるようになったら、不安定な場所でバランスを取る練習を取り入れる場合があります。
ただし、バランスディスクを使うこと自体が目的ではありません。
足首をコントロールできる能力を段階的に戻していくことが目的です。
⑦ ジャンプ・着地
スポーツ復帰を目指す場合には、日常生活が問題なくできるだけでは十分とは限りません。
競技によっては、
ジャンプ
着地
片脚ジャンプ
左右への移動
などを段階的に行います。
⑧ 切り返し・競技動作
最終段階では、実際のスポーツに近い動きを確認します。
たとえば、
サッカーならダッシュ・方向転換・ボールを使った動作、バスケットボールやバレーボールならジャンプ・着地・切り返しなどです。
いきなり試合に戻るのではなく、
ジョギング → ランニング → ダッシュ → 切り返し → 競技練習 → 通常練習
というように、状態に応じて負荷を上げていきます。
リハビリ中に痛みが出たらどうする?
「少しでも痛かったら全部中止」と一律に考える必要はありません。
重要なのは、どの動作で、どの程度の痛みが出て、その後どう変化するかを見ることです。
運動中に痛みが強くなる、運動後に腫れが増える、翌日まで症状が悪化しているといった場合には、負荷が強すぎる可能性があります。
反対に、症状や損傷の状態によっては、許容できる範囲で身体を動かしながらリハビリを進めることもあります。
自己判断が難しい場合は、医療機関などで状態を確認してもらいましょう。
足首捻挫からスポーツ復帰する目安
スポーツ復帰を、「受傷から○週間」だけで決めるのはおすすめできません。
足首捻挫からのスポーツ復帰について、国際的な専門家の合意では「PAASS」という考え方が提案されています。
確認するのは、
痛み
足首の可動域・筋力・持久力・パワー
足首への安心感や安定感
バランス・身体をコントロールする能力
ジャンプ・切り返し・競技動作
などです。さらに、通常練習を最後まで行えるかも判断材料になります。
つまり、
「歩いて痛くないから試合に出る」
ではなく、
「競技で必要になる動作まで問題なく行えるか」
を確認することが重要です。
足首を捻ったら骨折にも注意
足首を捻ったからといって、すべてが靱帯の捻挫とは限りません。
強い腫れや痛みがある場合には、骨折を伴っている可能性もあります。
特に私が接骨院でみてきた症例では、腓骨下端部に剥離骨折が起こっているケースもあります。
「歩けるから骨折ではない」と自己判断せず、骨折が疑われる場合には医療機関で評価を受けることが重要です。
足首捻挫の再発を防ぐには?
足首捻挫は、痛みがなくなった時点でリハビリを終了するのではなく、残っている機能低下を確認することが大切です。
特にスポーツをしている方では、筋力やバランス、ジャンプ、着地、切り返しなどを段階的に戻していきます。
また競技復帰後には、必要に応じてテーピングや装具を使用することもあります。外部サポートと運動療法は、足首捻挫後の管理で用いられています。
まとめ|足首捻挫のリハビリは段階的に進めよう
足首捻挫後のリハビリでは、痛みがなくなることだけをゴールにするのではなく、可動域・筋力・バランス能力・スポーツ動作まで段階的に戻していくことが大切です。
また、「受傷後3日だから開始」「2週間経ったからスポーツ復帰」というように、日数だけで判断するものではありません。
損傷の程度や症状を確認しながら、その時点でできるリハビリを進めていきましょう。
スポーツをしている方は、最終的に走る・跳ぶ・切り返すなど、実際の競技で必要な動きを確認してから復帰することが重要です。
