腰の痛み

仙腸関節障害とは?原因・症状・治療を解説

「骨盤が痛い」
「腰痛と診断されたが、腰より少し下に痛みがある」

といった症状で悩んでいませんか?
それは、仙腸関節障害かもしれません。
この疾患は、レントゲンやMRIなどでは異常が見られないため「見えない腰痛」とも言われています。
そのため、原因不明の腰痛としてみなさんを悩ませています。
しかし、仙腸関節障害は適切な治療を行えば早期に治りますので安心して下さい。
仙腸関節障害を早期に治すポイントは、ロックしてしまっている仙腸関節の動きの改善になります。
今回は、そんな仙腸関節障害の治療について詳しく説明します。

まずは、仙腸関節について説明してきます。

仙腸関節とは?

赤い○で囲んだ部分を仙腸関節と呼びます。

仙腸関節とは、骨盤の骨である仙骨と腸骨の間にある関節です。
仙腸関節はわずかな可動性を持っている関節で、肩や膝のように大きく動くのではなくわずか2ミリ程度動くと言われています。
この他には、骨盤はカラダを支える重要な部分のため仙腸関節周辺には人体の中でもっとも強靱な靱帯がありカラダを支える手助けをしてくれています。

 

仙腸関節は動いている!?

先程、少しお話しましたが仙腸関節は2ミリ程度のわずかですが動いています。
このわずかな動きがとても重要で、このわずかな動きがあることで腰部から加わる負担を吸収・分散してます。
この仙腸関節がどのような動きをしているかというと、「うなずき運動」といって前屈みをした時に仙骨は一緒に前へ傾き(前傾)、左右の腸骨は逆に後方に傾きます(後傾)。
この他には、離開運動といって仙骨に対して左右の腸骨が広がるように動いたりします。

 

では、仙腸関節障害になるとどのような状態になってしまうのでしょうか?

目次

仙腸関節障害とは

仙腸関節障害とは、その名の通り「仙腸関節に障害をきたしている状態」を言います。
どのような障害が多いかというと、仙腸関節がロックして動かなくなるか・仙腸関節が緩くなり不安定になってしまうかのどちらかの障害をきたしていることが多いです。
仙腸関節がロックしてしまうことで、本来あるわずかな動きがなくなってしまい腰部から加わる負担を緩和することが出来なくなってしまい痛みを発生させたり、カラダの中心のある骨盤の仙腸関節が緩くなり不安定になることで関節に無理なストレスが加わり痛みが発生します。
これが、仙腸関節障害です。
そして、最大の特徴がレントゲンやMRIでは仙腸関節に異常があるかわからないため、痛いがあるのに異常がないと言われてしまうことがとても多いことです。

では、そんなレントゲンで異常が見つけられない仙腸関節障害をどのように見極めるのでしょうか?

仙腸関節障害の検査の仕方とは?

仙腸関節障害を疑うときは、レントゲンのなどの画像診断に頼らず様々なテストを行い見極めます。
今回は、当院でも行う4つ検査法を紹介します。

①疼痛確認

一つ目の検査は、痛みをどの部分に感じているかを触ってもらいます。
仙腸関節障害を起こしている方であれば、右の写真の左右どちらかの赤〇の場所を触ることがとても多いです。
この他に、仙腸関節障害を起こしているとお尻の真ん中に痛みを感じたり、鼠径部に痛みを感じたりする特徴があるため確認します。

②前屈テスト

右の仙腸関節がロックしているため、腸骨が前方に一緒に移動してしまう

2つ目の検査は、仙腸関節がロックしているかを見極めるときに行います。
やり方は、左右の腸骨にある上後腸骨棘と呼ばれるボッコとした骨に指をおいた状態で前屈をしてもらいます。
正常であれば、仙骨に対して左右の腸骨は後傾するため左右の上後腸骨棘は同じように動きます。
しかし、仙腸関節がロッキングしてしまっている側があれば仙骨が前傾するのに対して腸骨も一緒に前傾してしまうためロッキングを起こしてる側の指は一緒に前方に移動してしまいます。

 

 

③股関節屈曲テスト

患側の股関節を曲げていくと、仙腸関節部に痛みを感じる

3つ目の検査は、仙腸関節がロックしているかを見極めるときに行います。
やり方は、仰向けに寝ていただき股関節を曲げていきます。
仙腸関節がロッキングしてしまっていると、仙腸関節部に痛みが出たり股関節の前側がつまるといった症状を感じます。

 

 

④離開テスト

患側の足を四の字にして広げると、仙腸関節部に痛みを感じる

4つ目の検査は、仙腸関節がロックしているかを見極めるときに行います。
やり方は、仰向けに寝て頂き足を四の字にして膝を外に開いていきます。
仙腸関節がロッキングしていると、仙腸関節部に痛みが出ます。

 

 

 

 

このようなテストを行うことで、レントゲンなどの画像診断できない仙腸関節障害を突き止めていきます。

仙腸関節障害になる原因

仙腸関節障害になる原因は、

・出産
・長時間のディスクワーク
・自転車

のような原因があります。
みなさんのイメージに一番あるのは、出産だと思います。
出産する際に、骨盤が広がることをきっかけに仙腸関節が緩くなったり、仙腸関節がロッキングを起こすいったイメージではないでしょうか?
しかし、実際には出産だけではなく日常生活での動きでも同じくらいの割合で仙腸関節障害になります。そのため、女性だけでなく、男性にも見られます。
また、ディスクワークやメッセンジャーと言われる自転車便などの長時間同じ姿勢で作業されている方はなりやすいです。

仙腸関節障害の症状

仙腸関節障害になるとどのような症状がでるのでしょうか?
仙腸関節障害で特徴的なのは、痛みの出るポイントです。
多くの腰痛の場合、
痛みの出るポイント=患部のことがとても多いです。
しかし、仙腸関節障害の場合は患部以外にも痛みを訴えることが多いです。
仙腸関節障害で痛みを訴えるポイントは右の図の赤〇です。
患部の仙腸関節以外に、そけい部やお尻の真ん中・ふとももの後面外側などに痛みを感じる事があります。

仙腸関節障害の治療

仙腸関節障害の治療において、重要なことはいかにロックしてしまっている仙腸関節の動きを正常に戻すかです。
治療方法としては、手技療法にて周りの筋肉を緩めて関節の動きを調整する方法や外科的な処置で、仙腸関節にブロック注射をうって痛みの緩和や隙間を広げて血流を良くし動きや位置が戻っていく方法があります。

ABOUT ME
小林 勇太
葛飾区こばやし接骨院院長。柔道整復師の国家資格を保有。野球やサッカー・バレーボールなどのスポーツの現場で活動していたためスポーツ障害・外傷の症例経験が豊富。葛飾区こばやし接骨院の院長をしている小林勇太院長のブログです。