この記事を監修している人:小林 勇太(柔道整復師免許所有)

「足の親指の付け根が痛くて歩くのがつらい」

「種子骨炎と言われたけど、どのくらいで治るの?」

「痛みがなかなか引かないけど、このままで大丈夫?」

このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

種子骨炎は、足の親指の付け根にある「種子骨」周辺に痛みが生じる状態です。特に、歩く・走る・ジャンプするなど、足の親指の付け根に負担がかかる動作で痛みが出やすいのが特徴です。

私が接骨院で種子骨周辺に痛みのある方をみてきた中でも、**「足を着くと痛い」**と訴える方が多い印象があります。

では、種子骨炎はどのくらいで治るのでしょうか?

この記事では、接骨院で実際に患者さんをみてきた経験も交えながら、

  • 種子骨炎とは何か
  • どのくらいで治るのか
  • 原因と症状
  • なかなか治らない理由
  • 治療方法
  • 早く改善するために大切なこと
  • 病院を受診した方がよいケース

について詳しく解説します。

※足の親指の付け根の痛みには、種子骨の骨折など別の原因が隠れていることがあります。この記事だけで自己判断せず、強い痛みや長引く痛みがある場合は医療機関を受診してください。





種子骨炎とは?

種子骨とは、足の親指の付け根にある小さな骨です。

足には多くの骨がありますが、種子骨は一般的な骨とは少し違い、親指を曲げる働きに関係する短母趾屈筋の腱の中にあります。

足の裏側から見ると、親指の付け根付近に2つの種子骨があります。

歩いたり走ったりするときには、この部分に大きな負担がかかります。

種子骨周辺に繰り返し負担が加わることなどによって痛みが生じるのが、一般に種子骨炎と呼ばれる状態です。種子骨そのものだけでなく、周囲の軟部組織が関係する場合もあります。

種子骨炎の症状・原因・種子骨の位置を解説した図


種子骨炎はどのくらいで治る?

最初に、多くの方が一番知りたい疑問からお答えします。

種子骨炎が治るまでの期間を「○週間」と一律に決めることはできません。

症状の程度や原因、スポーツの有無、患部にかかる負担、骨折など別の病態がないかによって経過が変わるためです。

実際、2025年に発表された種子骨炎の保存療法に関するシステマティックレビューでも、治療法や治療期間には大きなばらつきがあり、種子骨炎に対する標準化された保存療法のガイドラインは確立されていないと報告されています。

そのため、

「種子骨炎なら4週間で治る」

などと考えるのはおすすめできません。

研究では数週間でスポーツへ復帰した例がある一方、数カ月にわたる治療を行ったケースや、症状が残ったケースも報告されています。

大切なのは「何週間たったか」だけではなく、

痛みがどの程度あるか、歩行や運動でどれだけ負担がかかっているか

を確認しながら回復をみていくことです。


種子骨炎の主な症状

代表的なのは、足の親指の付け根・母趾球付近の痛みです。

特に、

  • 歩くと痛い
  • 走ると痛い
  • ジャンプすると痛い
  • つま先立ちすると痛い
  • 親指の付け根を押すと痛い
  • 薄い靴底の靴を履くと痛い

などの症状がみられることがあります。

症状によっては、腫れ・熱感・赤みなどを伴うこともあります。歩行によって痛みが強くなることは、医学的な資料でも種子骨炎の特徴として挙げられています。

接骨院でも「足を着くと痛い」という方が多い

私がこれまで種子骨周辺に痛みがある方をみてきた中でも、

「足を着いたときに痛い」

という訴えは多い印象があります。

これは種子骨が親指の付け根にあり、歩行などの荷重が加わる場所であることとも一致します。


種子骨炎になる主な原因

種子骨炎では、ランニングなどによる繰り返しの負担が原因になることがあります。

特に、

  • ランニング
  • ジャンプを繰り返すスポーツ
  • ダンス
  • 足の前側に負担のかかる動作
  • ハイヒール
  • 底が薄い靴

などには注意が必要です。

また、足のアーチが高い人など、足の構造によって種子骨部分に負担が集中しやすい場合もあります。

ここで大切なのは、

「痛い種子骨だけに原因があるとは限らない」

ということです。

種子骨は短母趾屈筋の腱の中に存在し、親指の運動や歩行時の機能に関係しています。

そのため当院では、患部だけでなく、足部全体の動きや周囲の筋肉・腱の状態なども確認しています。


種子骨炎がなかなか治らないのはなぜ?

種子骨炎が長引く理由の一つとして考えられるのが、痛む場所に繰り返し負担がかかっていることです。

手であれば痛い場所を使わないようにすることもできますが、足は日常生活で立ったり歩いたりするだけでも使います。

症状が少し改善しても、

「痛みが減ったから走った」

「部活を再開した」

「仕事で長時間歩いた」

などによって再び負担がかかる可能性があります。

実際、保存療法後も痛みが残ったり、いったん改善した痛みが再発したりしたケースが医学文献でも報告されています。


種子骨炎を早く治すために大切なこと

「これをすれば必ず早く治る」という方法はありません。

ただし、治療の基本として非常に重要なのが、種子骨周辺への過度な負担を減らすことです。

1.痛みを我慢して運動を続けない

ランニングやジャンプなどで痛みが強くなる場合には、運動量の調整が必要です。

痛みを我慢して同じ負荷をかけ続けるのではなく、症状に応じて活動内容を見直します。保存療法の研究でも、活動制限・休息・荷重の調整などが用いられています。

2.靴を見直す

靴も重要です。

底の薄い靴やハイヒールなどでは、種子骨周辺の痛みが強くなる場合があります。

症状によっては、厚みのある靴底や適切な装具を使用して種子骨への圧力を減らす方法があります。

3.パッドなどで負担を減らす

種子骨に直接圧が集中しないよう、負荷を軽減するパッドや装具が用いられることがあります。

これは種子骨炎に対して一般的に行われる保存療法の一つです。

ただし、パッドを入れれば全員が改善するわけではありません。

ここは私自身の臨床経験からも感じています。


【接骨院での経験】クッション材だけでは変化が乏しいケースもあった

私も以前、種子骨周辺に痛みがある方に対して、患部へ直接圧がかからないようクッション材を入れ、包帯で固定するなどの対応を行ったことがあります。

しかし、それだけでは思うような変化がみられないケースもありました。

そこで、痛みのある部分だけを見るのではなく、種子骨周辺に関係する筋肉や腱、親指や足部の動きにも注目するようにしています。

種子骨は短母趾屈筋腱の中にあり、歩行時の足の機能に関係するためです。

当院では、周囲の筋肉の緊張や親指を動かした際の組織の動きなども確認し、それらを踏まえて施術を行うことがあります。

ただし、これは私自身の臨床経験に基づく施術上の考え方です。

「筋肉を緩めれば種子骨炎が治る」と医学的に確立されているわけではありません。

2025年のシステマティックレビューでも、理学療法を含むさまざまな保存療法が報告されている一方、研究数や症例数が少なく、どの治療方法が最も優れているかを断定できるだけのエビデンスはまだ十分ではありません。

そのため当院でも、患部の状態を確認したうえで対応することを大切にしています。


種子骨炎と骨折はどう見分ける?

ここは非常に重要です。

親指の付け根が痛い=種子骨炎とは限りません。

種子骨そのものが骨折している可能性もあります。

種子骨骨折でも、母趾球付近に痛みが生じ、歩くと痛むことがあります。腫れや赤みを伴う場合もあります。

そのため、自分で完全に見分けるのは困難です。

医療機関では診察に加え、必要に応じてX線検査が行われ、X線だけでは判断が難しい場合にはMRI検査が検討されることがあります。


こんな場合は医療機関を受診しましょう

種子骨周辺の痛みがある場合、特に、

  • 強い痛みがある
  • 体重をかけるのが難しい
  • スポーツ中の外傷後から強く痛む
  • 腫れや赤みが強い
  • 痛みが長期間続いている
  • 休んでも改善しない

といった場合には、自己判断で種子骨炎と決めつけず、整形外科などの医療機関を受診することをおすすめします。

種子骨周辺の痛みには骨折などが含まれる可能性があり、必要に応じて画像検査による確認が行われます。


種子骨炎についてよくある質問

種子骨炎は自然に治りますか?

負担を減らすことで症状が改善するケースはありますが、すべての人が自然に改善するとは限りません。

痛みが続く場合には、靴・パッド・装具などを使って患部への負担を減らす方法もあります。

特に長期間痛みが続く場合には、種子骨炎以外の状態がないか確認することも大切です。

種子骨炎は歩いても大丈夫ですか?

「歩いてよい・悪い」を一律には判断できません。

ただ、種子骨炎は歩行によって痛みが増悪することがあります。

歩くたびに強い痛みが出る場合は、無理に歩き続けず、状態を確認してもらうことをおすすめします。

種子骨炎でもスポーツできますか?

痛みの程度によります。

ランニングやジャンプなど、種子骨部分に大きな負担をかける動作で痛みが出る場合には、運動量を調整する必要があります。

「○日休めば必ず復帰できる」と決めるのではなく、痛みや機能の回復を確認しながら段階的に復帰することが大切です。

インソールやパッドは効果がありますか?

種子骨への圧力を減らすため、パッドや装具が保存療法として用いられています。

ただし効果には個人差があります。

私自身も、クッション材などで患部への圧を減らすだけでは変化が乏しいケースを経験しています。

種子骨炎が治らない場合はどうすればいいですか?

長期間改善しない場合には、

「本当に種子骨炎なのか?」

を改めて確認することも大切です。

種子骨骨折やその他の疾患との鑑別が必要になる場合があり、必要に応じてX線やMRIなどの画像検査が行われます。


まとめ|種子骨炎は「何週間」より負担を減らせているかが大切

種子骨炎は、足の親指の付け根にある種子骨周辺に痛みが生じる状態です。

特に、

歩く・走る・ジャンプする・つま先に体重をかける

といった動作で症状が出やすくなります。

「どのくらいで治るの?」と不安になると思いますが、現在の医学的エビデンスからも、一律に「○週間で治る」とは言えません。保存療法によって改善する人がいる一方、痛みが残ったり再発したりするケースも報告されています。

大切なのは、痛みを我慢して負荷をかけ続けないことです。

靴や運動量などを見直しながら、必要に応じてパッドや装具などで種子骨にかかる負担を減らします。

また、痛い場所だけを見るのではなく、足全体の動きや周囲の筋肉・腱などを確認することも、私は臨床上大切にしています。

そして強い痛みがある場合や、なかなか改善しない場合には、種子骨炎と自己判断せず、骨折などが隠れていないか医療機関で確認してもらいましょう。

ABOUT ME
こばやし先生
東京都葛飾区で「こばやし接骨院」を経営する柔道整復師(国家資格保持者)。延べ2,000人以上の施術実績に基づき、「どこに行っても痛みが治らない」と悩む方を減らしたい想いから本メディアを立ち上げました。湿布や薬に頼らず、自宅でできる解剖学に基づいた正しいストレッチやセルフケアを発信中。