シーバー病にストレッチは効果ある?正しいやり方と痛いときの注意点を解説
この記事を監修している人:小林 勇太(柔道整復師保有)
シーバー病(踵骨骨端症)になった子どもの保護者の方から、
「ストレッチをした方がいいですか?」
「ふくらはぎを伸ばせば早く治りますか?」
と聞かれることがあります。
結論からいうと、ふくらはぎ~アキレス腱周辺のストレッチは、シーバー病の保存的な対処の一つとして行われています。
ただし、
「ストレッチだけでシーバー病が治る」
というものではありません。
私が実際にシーバー病の子どもをみる際も、かかとだけでなく、ふくらはぎから足底までの状態を確認しています。
当院では状態に応じて電気治療や手技療法を行い、ふくらはぎや足底周辺にアプローチすることがあります。
この記事では、シーバー病にストレッチを行う理由、具体的な方法、行うときの注意点について解説します。
シーバー病(踵骨骨端症)とは?
シーバー病は、主に成長期の子どもにみられるかかとの痛みです。
成長途中のかかとの部分に、走る・ジャンプするといった繰り返しの負荷が加わることで症状が出ます。
特にサッカーやバスケットボール、陸上など、走ったりジャンプしたりする機会の多いスポーツでみられます。
私が実際にみてきた患者さんでも、サッカーをしている子どもに多い印象があります。
成長期の子どもが、
「走るとかかとが痛い」
「練習後にかかとが痛くなる」
「かかとの後ろを押すと痛い」
などと訴える場合には、シーバー病が原因となっていることがあります。
ただし、子どものかかとの痛みがすべてシーバー病とは限りません。
強い痛みや腫れがある、体重をかけられない、症状が長期間改善しない場合などには、他のケガや病気との鑑別も必要です。
シーバー病にストレッチは効果ある?
シーバー病の保存的な対処として、ふくらはぎやアキレス腱周辺のストレッチが取り入れられることがあります。
ただし、ここで注意したいのが、
「筋肉が硬いことがシーバー病の根本原因だから、筋肉を柔らかくすれば治る」
と単純に考えないことです。
シーバー病には、スポーツ活動による繰り返しの負荷、足関節の動き、足部の状態、靴など、さまざまな要素が関係すると考えられています。リスク因子についても研究間で結果が一致していないものがあります。
そのためストレッチは、
シーバー病に対する対処法の一つ
と考えるのがよいでしょう。
なぜふくらはぎをストレッチするの?
ふくらはぎの筋肉は、アキレス腱を介してかかとの骨につながっています。
シーバー病では、成長期のかかとに繰り返し負荷が加わることが問題になります。
そのため、ふくらはぎ~アキレス腱周辺の柔軟性を保つことを目的として、ストレッチが取り入れられています。
私も実際の施術では、かかとだけを見るのではなく、ふくらはぎから足底までの状態を確認します。
筋肉の硬さがみられる場合には、状態に応じて手技療法などを行うことがあります。
ただし、ふくらはぎが硬いからといって、それだけがシーバー病の原因だと断定することはできません。
シーバー病のストレッチ方法
ここから、自宅でも行いやすいストレッチを紹介します。
① 膝を伸ばしてふくらはぎを伸ばす
壁に両手をつきます。
伸ばしたい方の足を後ろに下げ、つま先を正面に向けます。
後ろ足のかかとを床につけたまま、膝を伸ばして体をゆっくり前へ移動させます。
ふくらはぎが無理なく伸びる位置で止めます。
強く伸ばせばよいわけではありません。
かかとに痛みが出るほど無理に伸ばさないようにしてください。

② 膝を少し曲げてふくらはぎを伸ばす
先ほどと同じように壁に手をつき、伸ばしたい方の足を後ろへ下げます。
今度は後ろ側の膝を軽く曲げながら、体重をゆっくり前へ移します。
膝を伸ばしたストレッチとは、ふくらはぎの伸びを感じる場所が少し変わります。
こちらも痛みを我慢して行う必要はありません。
気持ちよく伸びる程度を目安にしてください。

ストレッチは何秒やればいい?
「20秒なら治る」「30秒なら効果が高い」というように、シーバー病について最適な秒数が確立されているわけではありません。
そのため、秒数だけにこだわる必要はありません。
一例として、
20~30秒程度を無理のない範囲で行い、数回繰り返す
方法があります。
ただし、ストレッチ中にかかとの痛みが強くなる場合には中止してください。
痛いときもストレッチした方がいい?
ここは重要です。
痛みを我慢してまでストレッチする必要はありません。
特に、かかとの痛みが強い時期には、まず痛みを悪化させる活動を減らすことが優先される場合があります。
医療機関向けのシーバー病の管理指針でも、急性期の症状が落ち着いてから穏やかなアキレス腱ストレッチを行う考え方が示されています。
ストレッチをした後に明らかに痛みが強くなるのであれば、
「効いている証拠」
とは考えず、一度中止して状態を確認しましょう。
ストレッチだけでシーバー病は治る?
ストレッチだけに頼ることはおすすめしません。
シーバー病の治療では、ストレッチ以外にも、
痛みを誘発する運動量の調整、靴の見直し、ヒールカップやインソールなどによる負荷の調整
といった方法が用いられています。
また、治療法を比較した研究はありますが、現在のところ「これだけを行えば最も早く治る」という治療法が確立されているわけではありません。古い系統的レビューでも、各治療法について質の高い研究が不足していることが指摘されています。
ですから、ストレッチをしているから、いつも通りサッカーをして大丈夫ということでもありません。
運動量も同時に考える必要があります。
サッカーをしている子は運動量にも注意
私が実際にみてきたシーバー病では、サッカーをしている子どもが多いです。
サッカーではダッシュ・ストップ・切り返し・ジャンプなどを繰り返します。
シーバー病になった場合、私はすべての子どもに完全休止を指示するわけではありません。
状態を確認し、行える範囲で運動を続けてもらうことがあります。
ただし、痛みを我慢して普段と同じ練習量を続けるという意味ではありません。
痛みが強くなる場合には、練習時間を短くしたり、走る量を減らしたり、痛みの出るメニューを一時的に控えたりして負荷を調整します。
シーバー病でサッカーを続けてもよいか迷っている方は、「シーバー病でサッカーは休むべき?練習を続ける目安と治し方を解説」も参考にしてください。
2026年には、シーバー病の子どもを対象に、痛みに応じた活動量調整と段階的な運動療法を組み合わせる方法の実行可能性を検討した研究も報告されています。ただし予備的な研究段階であり、今後さらに大規模な検証が必要です。
当院でのシーバー病への考え方
当院では、シーバー病の患者さんに対して、かかとの痛みだけを見るわけではありません。
ふくらはぎから足底までの状態も確認します。
私がみてきた患者さんでは、ふくらはぎや足底周辺に硬さがみられることがあります。
状態に応じて電気治療や手技療法を行い、ふくらはぎから足底周辺にアプローチすることがあります。
ただし、
電気治療や手技療法を行えばシーバー病そのものが早く治る
という意味ではありません。
運動量や痛みの状態なども確認しながら対応することが大切だと考えています。
シーバー病のストレッチでやってはいけないこと
特に避けたいのは、「痛いほど伸ばした方が効く」と考えることです。
強く伸ばす必要はありません。
また、ストレッチだけ行って運動量を全く変えないのも注意が必要です。
走ったりジャンプしたりするたびに痛みが強くなっている場合には、ストレッチ方法だけを変えるのではなく、現在の練習量そのものを見直します。
シーバー病は、
ストレッチ+運動量の調整+必要に応じた治療
というように、複数の要素を組み合わせて考えることが重要です。
シーバー病のストレッチについてよくある質問
毎日ストレッチした方がいいですか?
無理なく行えて、ストレッチ後に症状が悪化しないのであれば、継続して行う方法があります。
ただし、毎日行えば早く治ると断定できるものではありません。
痛みが強い場合には、無理に行わないでください。
ストレッチするとかかとが痛いのですが、続けてもいいですか?
かかとに強い痛みが出る場合には、一度中止してください。
ストレッチの強さや方法が合っていない可能性がありますし、症状が強い時期にはストレッチより活動量の調整を優先する場合もあります。
足の裏もストレッチした方がいいですか?
私は実際の患者さんでは足底周辺の状態も確認しています。
ただし、「足底をストレッチすればシーバー病が治る」という十分な根拠があるわけではありません。
症状や身体の状態を確認して必要性を判断するのがよいでしょう。
ストレッチをすればサッカーを休まなくてもいいですか?
ストレッチをしているかどうかだけで、サッカーを続けられるかは判断できません。
走ったときの痛みやフォーム、練習後・翌日の症状などを確認しながら運動量を決めます。
こんな場合は医療機関で確認を
成長期のかかとの痛みが、すべてシーバー病とは限りません。
強い外傷のあとから痛くなった、体重をかけるのが難しい、腫れなどが強い、安静にしていても強く痛む、症状がなかなか改善しない場合などは、整形外科などの医療機関で確認してもらうことをおすすめします。
シーバー病は通常、症状や診察所見をもとに判断されますが、必要に応じて画像検査を行い、骨折など他の原因を除外することがあります。
まとめ|シーバー病のストレッチは「無理なく」が基本
シーバー病では、ふくらはぎ~アキレス腱周辺のストレッチが保存的な対処の一つとして行われています。
ただし、
ストレッチだけでシーバー病が治るわけではありません。
痛みを我慢して強く伸ばす必要もありません。
私が実際にシーバー病の子どもをみる際も、かかとだけでなく、ふくらはぎから足底まで確認しています。
そのうえで、必要に応じて治療を行いながら、サッカーなどの運動量も調整します。
ストレッチ・運動量・痛みの状態をセットで考えることが大切です。
