シーバー病でサッカーは休むべき?練習を続ける目安と治し方を解説
この記事を監修している人:小林 勇太(柔道整復師保有)
私は柔道整復師として、これまで成長期の子どものスポーツ障害を多くみてきました。
シーバー病(踵骨骨端症)もその一つで、私が実際にみてきた中ではサッカーをしている子どもに多い印象があります。
シーバー病といわれた保護者の方から、よく聞かれるのが、「サッカーは完全に休ませた方がいいですか?」という質問です。
結論からいうと、シーバー病だからといって、すべての子どもがサッカーを完全に休まなければならないわけではありません。
私は実際の患者さんをみる際、痛みの程度や走り方などを確認し、運動できる状態であれば、練習量を調整しながらサッカーを続けてもらうことがあります。
ただし、痛みを我慢していつもと同じ練習を続けるという意味ではありません。
走ったりジャンプしたりすることで痛みが強くなる場合や、痛みのために走り方が変わっている場合などは、運動量を減らしたり、一時的に休んだりする必要があります。
この記事では、シーバー病になったときにサッカーを休むべきなのか、練習を続ける目安や治療について解説します。
シーバー病(踵骨骨端症)とは?
シーバー病は「踵骨骨端症」とも呼ばれ、成長期の子どものかかとに起こるスポーツ障害です。
成長途中のかかとの骨には、骨が成長する部分があります。この部分に、走る・ジャンプするなどの繰り返しの負荷が加わることで、かかとに痛みが出ることがあります。
特に、走ったりジャンプしたりする機会が多いスポーツをしている子どもにみられ、サッカーも代表的なスポーツの一つです。
私が実際にみてきたシーバー病の患者さんでも、サッカーをしている子どもは多くいます。
サッカーでは、
- ダッシュする
- 急に止まる
- 切り返す
- ジャンプする
といった動作を何度も繰り返します。
そのため、症状が出ている状態で練習量が多くなると、かかとの痛みが強くなることがあります。
シーバー病になったらサッカーは休むべき?
ここがこの記事で一番伝えたいところです。
「シーバー病=サッカー禁止」と一律に考える必要はありません。
一般的なシーバー病の治療でも、痛みの程度に応じた活動量の調整や相対的な休息が基本になります。
私の場合も、シーバー病の子どもをみるときは、「サッカーをしているか、していないか」だけでは判断しません。
実際に走ったときの痛みや、動き方が変わっていないかなどを確認します。
問題なく行える範囲であれば、運動量を調整しながらサッカーを続けてもらうことがあります。
一方で、痛みを我慢しながら無理に練習を続けることはおすすめしません。
サッカーを続けてもよいと考える目安
私が実際の患者さんをみる際に重要視しているのが、痛みと動き方です。
軽い違和感程度で、日常生活に大きな支障がなく、走ったときにも明らかにフォームが崩れていない場合には、状態を確認しながら運動を続けてもらうことがあります。
ただし、普段と同じ練習量をそのまま続けるのではなく、
練習時間を短くする・走る量を減らす・痛みの出るメニューを控える
など、負荷を調整します。
「練習できる=治っている」ではありません。
練習後や翌日に痛みが強くなっていないかも確認しながら、運動量を調整していくことが大切です。
こんな場合はサッカーを休んだ方がよい
反対に、無理にサッカーを続けない方がよいケースもあります。
たとえば、歩いているだけでもかかとが強く痛む、痛みのために足を引きずる、走り方が明らかに変わる、練習するほど痛みが強くなる、といった場合です。
このような状態で無理に運動を続けるのではなく、一度運動量を大きく減らしたり、場合によっては一時的にサッカーを休んだりすることを考えます。
医学的にも、シーバー病ではランニングやジャンプなど症状を悪化させる活動を制限し、症状に応じて徐々に競技へ戻していくことが推奨されています。
大切なのは、
「何日休めばいいか」ではなく、「現在どの程度の負荷なら痛みなく行えるか」
を見ることです。
シーバー病でサッカーを続けるか休むかの考え方をまとめると、次のようになります。

シーバー病は休めば早く治る?
「完全に休ませた方が早く治るのでは?」
と思う保護者の方もいると思います。
シーバー病では、痛みを悪化させる負荷を減らすことは重要です。
しかし、すべてのケースで完全な運動禁止が必要とは限りません。
シーバー病の治療法についてはさまざまな方法が研究されていますが、現在も特定の治療法だけが圧倒的に優れているとは言い切れません。活動量の調整、ストレッチ、踵への負荷を軽減する方法などが保存的治療として用いられています。
そのため私は、「とにかく休ませる」でも「痛くてもサッカーを続ける」でもなく、その子の状態に合わせて運動量を調整することが重要だと考えています。
私がシーバー病の治療でみているところ
私は、シーバー病だからといって、かかとだけをみるわけではありません。
実際の施術では、かかとの状態だけでなく、ふくらはぎから足底までの状態も確認します。
私が実際にみてきたシーバー病の子どもでは、ふくらはぎや足底周辺の筋肉が硬くなっているケースもあります。
当院では状態に応じて、電気治療や手技療法を行いながら、ふくらはぎから足底周辺にアプローチすることがあります。
ただし、電気治療や手技療法を行えばシーバー病そのものが早く治る、と断定できるものではありません。
シーバー病では、運動量の調整やストレッチ、靴・踵への負荷の調整なども含めて考える必要があります。
ふくらはぎのストレッチも行う
シーバー病では、ふくらはぎの柔軟性を保つためのストレッチが取り入れられることがあります。
ただし、
「ストレッチをすればシーバー病が治る」
という単純なものではありません。
痛みが強い状態で無理に伸ばすのではなく、症状を確認しながら行うことが大切です。
サッカーを続けるなら練習量を調整する
「サッカーを休まなくてもいい」と聞くと、
「では普通に練習していいんですね」
と思ってしまうかもしれません。
そうではありません。
サッカーを続けられる状態であっても、痛みが出ている間は負荷の調整を考えます。
たとえば、長時間のランニングを減らす、ダッシュやジャンプを減らす、練習時間を短くする、連日の高負荷練習を避けるなどです。
どの動作で痛みが出るかは子どもによって違います。
そのため、「シーバー病なら練習を○%減らす」と一律に決めるのではなく、痛みを確認しながら調整するのがよいでしょう。
試合には出てもいい?
これも一律には決められません。
普段の練習より試合の方が運動強度が高くなることがあります。
そのため、ジョギングでは問題なくても、ダッシュや切り返しを繰り返すと痛みが出ることがあります。
「歩けるから試合に出られる」とは限りません。
走る・止まる・切り返す・ボールを蹴るといった、実際のサッカーに近い動作を行ったときに症状がどう変化するかを見る必要があります。
また、試合中は痛みを我慢できても、終了後や翌日に痛みが強くなる場合があります。
試合出場について迷う場合には、医療機関などで状態を確認してもらうことをおすすめします。
痛みがなくなったらすぐ全力でサッカーをしていい?
痛みが軽くなったからといって、いきなり以前と同じ練習量に戻すのはおすすめしません。
休んでいた期間がある場合には、運動量を少しずつ戻していきます。
たとえば、
ジョギング → 軽いボール練習 → ダッシュ・切り返し → 通常練習 → 試合
というように、段階的に負荷を上げていく方法があります。
途中でかかとの痛みが再び強くなる場合には、負荷を一段階戻すことも考えます。
シーバー病は再発することがある
シーバー病では、症状が一度落ち着いた後に、再びかかとが痛くなることがあります。
特に、練習量が急に増えたときなどには症状が再び現れることがあります。
そのため、痛みがなくなった直後から急に練習量を元通りにするのではなく、段階的に戻すことが大切です。
シーバー病だと思っていても別のケガの場合がある
成長期の子どもが「かかとが痛い」と訴えたからといって、すべてがシーバー病とは限りません。
シーバー病は一般的には臨床所見を中心に判断されますが、症状によっては骨折など別の病気・ケガを除外するために画像検査が行われることがあります。
特に、強い外傷のあとから痛くなった、安静にしていても強く痛む、腫れなどが強い、体重をかけられない、症状がなかなか改善しない、といった場合には医療機関を受診してください。
「成長期だから」「シーバー病だろう」と自己判断して、長期間放置しないことが大切です。
シーバー病とサッカーについてよくある質問
シーバー病はサッカーを完全に休まないと治りませんか?
すべてのケースで完全休止が必要とは限りません。
痛みの程度に応じて運動量を調整する方法があります。私は実際の患者さんでも、状態を確認しながら、可能な範囲で運動を続けてもらうことがあります。
ただし、痛みを我慢して通常どおり練習することをすすめているわけではありません。
走ると少し痛いくらいなら大丈夫ですか?
「少しなら必ず大丈夫」とは言えません。
痛みの程度だけでなく、走り方が変わっていないか、練習後や翌日に痛みが強くならないかなども確認してください。
シーバー病にストレッチは必要ですか?
ふくらはぎのストレッチなどは、シーバー病の保存的な対処として取り入れられることがあります。
ただし、ストレッチだけで治すというものではありません。痛みの程度や運動量なども含めて考えることが大切です。
何週間でサッカーに復帰できますか?
一律に「○週間」と決めることはできません。
症状は数週間から数か月の範囲で改善していくことがありますが、症状の程度や活動量などによって異なります。
日数だけで判断せず、走る・ジャンプする・切り返すといった動作ができるかを確認しながら復帰を進めます。
まとめ|シーバー病は「休む・休まない」より運動量の調整が大切
シーバー病になったからといって、すべての子どもがサッカーを完全に休まなければならないわけではありません。
私が実際にみてきた患者さんでは、痛みや動き方を確認しながら、可能な範囲で運動を続けてもらうことがあります。
一方で、痛みのために走り方が変わる、練習するほど症状が強くなる、日常生活でも強く痛むような場合には、運動量を大きく減らしたり、一時的に休んだりする必要があります。
重要なのは、
「シーバー病だからサッカー禁止」
でも、
「少しくらい痛くても練習して大丈夫」
でもありません。
その子の痛みや動きを確認しながら、サッカーの負荷を調整していくことです。
