タナ障害の原因とは?膝の内側が痛むメカニズムと放置NGの理由
この記事を監修している人:小林 勇太(柔道整復師保有)
こんにちは!『痛みの取扱説明書』管理人のこばやし先生です。私は現役の接骨院長として、日々多くのスポーツ外傷や膝の痛みに悩む患者様の施術を行っています。
「膝の内側を曲げ伸ばしすると『パキッ』『コトコト』と引っかかる感じがする」
「お皿の内側あたりが痛くて、スポーツや屈伸動作がつらい」
「病院で『タナ障害』と言われたけれど、そもそもなぜ痛みが出ているの?」
膝の引っかかり感や痛みの原因として、特に10代〜30代のスポーツを行う方に多く見られるのが「タナ障害(滑膜棚障害:かつまくだんしょうがい)」です。
一見すると「ただの成長痛」や「筋肉痛」と勘違いされやすい症状ですが、原因を理解して正しく処置しないと、膝の軟骨を傷つけて痛みが長期化してしまう危険性があります。
今回はプロの視点から、「タナ障害が起きる解剖学的なメカニズム」「発症を引き起こす3つの主な原因」「放置するリスクと予防・改善法」を詳しく解説します!
1. タナ障害とは?膝の内部で何が起きているのか
まずは、「タナ」が一体何なのか、なぜ痛みが出るのかというメカニズムから説明します。
「タナ(滑膜棚)」とは?
私たちの膝関節は「関節包」という袋で包まれており、その内側には「滑膜(かつまく)」という膜が存在します。
胎児の段階では膝の内部がいくつかの部屋に分かれていますが、成長とともに部屋を仕切っていた壁が吸収され、ひとつの大きな空間になります。しかし、約半数の人は大人になってもその壁の名残(ヒダ状の膜)が残ります。
このヒダ状の膜が、「タナ(滑膜棚)」と呼ばれるものです。
痛みが発生するメカニズム
普段、タナ自体は柔らかい膜なので存在していても痛みを起こすことはありません。
しかし、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、お皿の骨(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)の間にこの「タナ」が挟まり(摩耗し)、炎症を起こして厚く硬くなってしまうことがあります。
硬くなったタナがお皿の裏やすき間に擦れることで、「コトコト」「パキッ」という引っかかり感や、膝の内側の引っ張られるような痛みが生じるのです。
2. タナ障害を引き起こす「3つの主な原因」
タナ(ヒダ)自体は生まれつき持っている人が多く存在します。では、なぜ「痛みが出る人」と「痛みが出ない人」がいるのでしょうか?
主な原因は以下の3つに集約されます。
原因①:膝のオーバーユース(使いすぎ・過度の屈伸動作)
タナ障害の一番大きな原因は、膝の曲げ伸ばし動作の繰り返しによる摩擦です。
特に以下のようなスポーツや動作を行っている人に多く発生します。
-
屈伸運動が多い競技: バレーボール、バスケットボール、サッカーなど
-
膝を酷使する競技: 陸上(長距離走)、サイクリング、水泳(平泳ぎのキック)
-
日常動作: 立ち上がり動作や階段の昇り降りが頻繁な仕事
膝を激しく曲げ伸ばしすることで、タナとお皿の骨が何度も擦れ合い、微小な傷や炎症が蓄積して発症します。
原因②:身体の使い方のクセ・アライメント(骨格)の乱れ
同じ練習量でも、膝の使い方やアライメント(骨格の並び)によってタナに負担がかかりやすくなります。
-
ニーイン・トゥーアウト(膝が内側に入り、つま先が外を向く): ジャンプの着地やランニング時に膝が内側に倒れ込むクセがあると、お皿の内側にあるタナが強く引っ張られて摩擦が激しくなります。
-
O脚・X脚や扁平足: 足元のバランスが崩れていると、膝関節にかかる圧力が不均等になり、タナが挟まりやすくなります。
原因③:太ももの筋肉(大腿四頭筋)の柔軟性低下・疲労
膝のお皿(膝蓋骨)は、太ももの前の大きな筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と繋がっています。
疲労やケア不足によって大腿四頭筋が硬く縮むと、お皿が太ももの骨に強く押し付けられる状態になります。その結果、骨同士のすき間が狭くなり、タナが挟まりやすくなって強い摩擦を引き起こします。
3. タナ障害の代表的な症状と簡単セルフチェック
自分やご家族の膝の痛みが「タナ障害」かどうかを見分けるための指標です。
よくある症状
-
膝を曲げ伸ばしした時に「コトコト」「コリッ」「パキッ」と引っかかる音がする
-
膝のお皿の「内側の上あたり」を押すとピンポイントで痛い(圧痛)
-
階段の昇り降りや、正座から立ち上がる時に痛む
-
長時間座った後に急に立ち上がると膝が引っかかる
簡易セルフチェック法
-
椅子に深く腰掛け、リラックスした状態で膝をゆっくり伸ばします。
-
その際、膝のお皿の内側の上縁(お皿のすぐ内側の凹み周辺)を指で軽く押さえます。
-
膝を曲げ伸ばしした際に、指の下で「コリッ」と引っかかる感触があったり、痛みが増したりする場合はタナ障害の可能性が高まります。
4. 放っておくとどうなる?タナ障害を放置するリスク
「少し引っかかるだけだから」「冷やせば痛みが引くから」とタナ障害を放置して運動を続けるのは危険です。
軟骨の損傷(軟骨磨耗)につながる
炎症を繰り返して肥厚(分厚く固化)したタナは、まるで「硬いゴムバンド」のようになります。
硬くなったタナが膝を曲げるたびに大腿骨の軟骨表面を強く削り取ってしまうため、最悪の場合、膝関節の「軟骨損傷」や早期の「変形性膝関節症」へと進行してしまうリスクがあります。
5. タナ障害の基本治療法と早期改善のためのアプローチ
タナ障害の初期段階であれば、手術を行わない「保存療法」で十分に改善が期待できます。
① 【急性期】アイシングとスポーツの休止(安静)
痛みが強い時期や熱感がある場合は、無理な運動を中断し、氷水を用いたアイシング(15〜20分)で患部の炎症を抑えます。
② 【慢性期・セルフケア】太もも(大腿四頭筋)のストレッチ
太ももの前の筋肉をストレッチで柔軟に保つことで、お皿にかかる圧力を逃がし、タナの挟み込みを劇的に減らすことができます。
③ 接骨院での専門ケア(電気治療・骨盤調整)
接骨院では、手では届かない深部の炎症に対してハイボルト治療(高電圧電気刺激)を行うことで速やかに痛みを抑えます。
また、単に膝をケアするだけでなく、膝が内側に入るクセ(ニーイン)の原因となる「股関節の硬さ」や「骨盤の歪み」「足裏のアーチ低下」を整えることで、根本的な再発予防を目指します。
6. まとめ:原因を理解して早期ケアを始めよう!
「タナ障害の原因」についてのまとめです。
-
タナ障害は、膝内部の膜(滑膜棚)がお皿と骨の間に挟まり炎症を起こす病態
-
主な原因は「膝の使いすぎ(オーバーユース)」「ニーインなどのアライメント不良」「太ももの筋肉の柔軟性低下」
-
放置すると硬くなったタナが膝の軟骨を削ってしまうリスクがある
-
初期であれば「安静・アイシング・ストレッチ・専門施術」でしっかり改善する
膝の内側に不快な引っかかり感や痛みを覚えたら、決して無理をして運動を続けず、早めに適切なケアを行いましょう。
「セルフケアをしても痛みが引かない」 「スポーツを続けながら安全に治したい」
という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。解剖学に基づいた見立てで、膝の負担を取り除く根本処置を行います!
