野球肘

野球肘はどこが痛い?痛む場所で分かれる3つのタイプと危険度【接骨院長が解説】

こんにちは!『痛みの取扱説明書』管理人のこばやし先生です。私は現役の接骨院長として、これまでに数多くの野球少年やアスリートの野球肘(投球障害肘)を施術し、復帰をサポートしてきました。

「ボールを投げると肘が痛むけれど、これって野球肘?」
「肘の内側(または外側・後ろ)が痛いけれど、場所によって何が違うの?」
「子供が『肘が痛い』と言っているけれど、どこを押して確認すればいいの?」

ボールを投げる動作によって肘に痛みが出る「野球肘(投球障害肘)」。

ひとことに「野球肘」と言っても、実は「肘のどこが痛むか」によって、病態・原因・危険度が全く異なります。

放置すると手術が必要になる危険なタイプもあるため、痛む場所を正しく把握することは非常に重要です。

今回は、プロの視点から「痛む場所で分かれる野球肘の3つのタイプ」と、「それぞれの特徴・危険度・セルフチェック方法」を分かりやすく解説します!

1. 【一目でわかる】野球肘の3つのタイプ比較

野球肘は、痛む場所によって「内側型」「外側型」「後方型」の3つに分類されます。

タイプ 痛む場所 発生する原因 頻度 危険度・注意点
① 内側型 肘の内側(小指側) 骨や靭帯が引っ張られる(牽引力) ★★★(最も多い) 早期発見・ケアで比較的改善しやすい
② 外側型 肘の外側(親指側) 骨と軟骨がぶつかり合う(圧迫力) ★☆☆(低め) 【重症】 放っておくと軟骨が剥がれ落ちる(要警戒)
③ 後方型 肘の後ろ(カックンとなる側) 骨どうしが激しく衝突・擦れ合う ★★☆(中程度) 成長期後半〜大人に多い。骨棘(骨の出っ張り)の形成

2. 痛む場所別!3つのタイプの詳細と危険度

それぞれのタイプについて、解剖学的なメカニズムと危険度を詳しく見ていきましょう。

① 内側型(肘の内側・小指側が痛む)

野球肘の中で全体の7〜8割を占める、最も頻度の高いタイプです。

  • 痛む場所: 肘の内側にある骨の出っ張り(内側上顆)や、その周辺。

  • 原因: 投球のテイクバックから加速期にかけて、手首や指を曲げる筋肉・靭帯が肘の骨を強く引っ張る(牽引力)ことで起こります。

  • 特徴・症状:

    • ボールをリリースする瞬間や、投げ終わった後に激痛が走る。

    • 肘の内側の骨を押すと強い痛み(圧痛)がある。

  • 危険度:★★☆☆☆

    • 成長期(小中学生)の場合、軟骨が剥がれる「内側上顆離断」を起こすことがあります。ただし、早期に投球を休止し、適切なケア(前腕のストレッチ等)を行えばしっかりと治りやすいタイプです。

② 外側型(肘の外側・親指側が痛む)

3つの中で最も警戒が必要な「非常に危険なタイプ」です(別名:離断性骨軟骨炎 / OCD)。

  • 痛む場所: 肘の外側の関節部分(親指側のくぼみ周辺)。

  • 原因: 投球時に肘の内側が強く引っ張られる反作用で、外側の骨と軟骨(上腕骨小頭と橈骨頭)が強烈にぶつかり合い、押し潰される(圧迫力)ことで起こります。

  • 特徴・症状:

    • 「初期は痛みがほとんどない」という非常に恐ろしい特徴があります。

    • 痛みがでた頃にはすでに軟骨がボロボロに破壊されているケースが多いです。

    • 進行すると関節の中で軟骨が剥がれ落ち(関節ネズミ)、肘が途中で引っかかって曲げ伸ばしできなくなります(ロッキング現象)。

  • 危険度:★★★★★(最重要警戒)

    • 発見が遅れると手術が必要になり、長期間(半年〜1年以上)野球ができなくなる恐れがあります。小中学生で「肘の外側が痛い」と言った場合は、即座に整形外科でレントゲンやMRI検査を受けてください。

③ 後方型(肘の後ろ・お皿側が痛む)

中学生後半〜高校生、大人のピッチャーに多く見られるタイプです。

  • 痛む場所: 肘の後ろ側(ピンと伸びきる部分、肘頭)。

  • 原因: ボールを放した後のフォロースルーで、肘が急速に伸びきる際、後ろ側の骨どうし(肘頭と肘頭窩)が激しく衝突・摩擦することで起こります。

  • 特徴・症状:

    • 肘をピンとまっすぐ伸ばしきった時に激痛が走る。

    • 繰り返しの衝突により骨が変形し、カドが立ち(骨棘)、関節の中に遊離骨(骨の欠片)ができることがあります。

    • 肘が最後まで伸びきらなくなる(屈曲・伸展障害)。

  • 危険度:★★★☆☆

    • 骨の変形や疲労骨折につながることがあるため、フォロースルーのフォーム改善としっかりとした治療が必要です。

3. 自分の肘はどのタイプ?痛む場所のチェック方法

どこが痛んでいるのか、以下の方法で優しくチェックしてみましょう。

  1. 肘を90度に曲げる

  2. 【内側のチェック】: 肘の内側にある大きな骨の出っ張りを指でぐっと押す ➔ 痛めば「内側型」

  3. 【外側のチェック】: 肘の外側(関節の隙間・親指側のくぼみ)を指で押す ➔ 痛めば「外側型」

  4. 【後ろのチェック】: 肘を前に伸ばし、肘の後ろの出っ張りを押す。または肘をピンと強く伸ばしきる ➔ 痛めば「後方型」

⚠️ 注意: 特に「外側」を押して痛みがある場合や、痛みがなくても肘の曲げ伸ばしに違和感がある場合は、自己判断せずすぐに医療機関(整形外科)を受診してください。

4. なぜ同じ野球をしていて「痛む場所」が変わるのか?

痛む場所が分かれる最大の理由は、「投球フォームの癖(エラー動作)」にあります。

  • 「肘下がり」「手投げ」になっている ➔ 肘の内側・外側に過度な負担(内側型・外側型)

    テイクバックで肘が下がり、手先だけで投げようとすると、肘が極端にしなって内側が引き伸ばされ、同時に外側が押し潰されます。

  • 「体をうまく旋回できず、肘の力で急ストップをかけている」 ➔ 肘の後ろに過度な負担(後方型)

    フォロースルーで下半身や体幹の回転が使えず、肘を突っ張ってボールを押し出すと、肘の後ろが激しく衝突します。

どのタイプであっても、根本にあるのは「肩・背骨・股関節の硬さ」「投球フォームの乱れ」です。

5. まとめ:痛む場所を正しく知って、手遅れになる前に対処しよう!

野球肘の「痛む場所とタイプ」についてまとめます。

  • 【内側が痛い】: 最も多い「内側型」。前腕の筋肉や靭帯の引っ張りで起こる。
  • 【外側が痛い】: 最も危険な「外側型(OCD)」。骨・軟骨の衝突。初期は無症状なため要注意!
  • 【後ろが痛い】: 伸びきる際の衝突で起こる「後方型」。フォロースルーの負担が原因。
  • どのタイプも「肘だけに負担が集中する体の使い方」を改善することが必須

「たかが肘の痛み」と甘く見ていると、知らず知らずのうちに重症化し、大好きな野球を長期間休まなければならなくなるリスクがあります。

痛む場所をしっかり確認し、少しでも異変を感じたら早期に休養と専門的なケアを行いましょう。

「肘のどこが痛んでいるのか自分で判断できない」「投球フォームのどこに原因があるのか知りたい」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。解剖学に基づいた専門的な評価と動作分析で、あなたの復帰を全力でサポートいたします!

ABOUT ME
こばやし先生
現役で接骨院を経営している柔道整復師です。「どこに行っても痛みが治らない」と悩む方を一人でも減らしたいという想いから、体のお悩み解決マニュアル『痛みの取扱説明書』を立ち上げました。 臨床現場での知識をベースに、湿布や薬に頼らず、自宅でできる正しいストレッチやトレーニング法を発信しています。