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ばね指とは?
ばね指とは、指に発症する腱鞘炎の一種を指します。ばね指を発症すると、指の付け根の痛みや腫れなどの炎症症状が出現することになります。ばね指の症状は朝方に認めることが多く、日中指を使用することで症状が改善するようになります。
病状が進行すると、「ばね現象」と呼ばれる、指がはねるような動作を伴うようになります。
ばね指は、日常生活上指をよく使うことの多い人に見られることが多い疾患です。キーボード作業や縫い物などに関連して発症することもあり、更年期の女性に多いです。
ばね指の原因
指の曲げ伸ばし運動は、前腕と指をつなぐ筋肉の働きによって達成されています。
指と前腕をつなぐ筋肉は腱となって骨につながることになりますが、指先の運動に伴って腱が安定性を保てるように「靭帯性腱鞘」と呼ばれる組織で補強されています。
この腱鞘は、バンドのようなループになっていて、その中を腱が行き来することで指の曲げ伸ばしを滑らかに行なうことができます。手指を曲げ伸ばしするときには腱鞘の中を腱が往復するように動きます。
この腱鞘が何らかの原因でむくんで厚くなったり、硬くなったりすると、腱鞘とその中を通っている屈筋腱がこすれ合い、炎症のために腫れてきます。このため、腫れた部分が引っかかって、指を伸ばそうと強い力を加えると「カクン」と跳ねるようになります。このように発症するのがばね指です。
ばね指の原因は、腱鞘が肥厚(むくみなどのために厚みが増すこと)したり、硬くなることによります。年齢が高くなるにつれて腱鞘の組織が硬くなりますが、糖尿病の方は結合組織に病変を起きやすいため、さらにリスクが高くなります。パソコンのキーボードでの入力作業や楽器の演奏などで指をよく使う人や、中高年の女性に多く見られます。
ばね指の症状
ばね指の症状は、
- 指の付け根における痛みや腫れ
- 指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる「ばね現象」
- 指を曲げると引っかかる
上記の症状を認める場合ばね指の可能性があります。
ばね指の診断
ばね指は、レントゲン撮影などの検査では確認することができません。
そのため、臨床症状をもとにして、ばね指を診断することになります。
ばね指は、腱鞘とそこを通過する屈筋腱との間に発生します。この部位はちょうど指の根元に位置しており、MP関節と呼ばれる部位に相当します。ばね指では、MP関節の手のひら側を圧迫することで痛みが誘発されることになります。また、同部位で腱がこすれることになるため、触診をしながら指先を伸ばす動作をすることでこの抵抗感を感知することになります。
このような臨床症状をもとにして診断します。
ばね指の治療
ばね指では、大きく分けて保存療法と手術療法の二つに分けられます。
保存療法では、電気治療や温熱療法・手技療法などを組み合わせて行っていきます。
また、初期の頃は炎症を和らげるために安静にすることは重要であり、可能な限り誘因となっている指先の動作を控えることとなります。この際、関節を固定してしまうと関節が拘縮(固くなること)してしまうことが危惧されるため、装具での固定などは基本的に行いません。むしろ関節が固まらないようにストレッチなどを行なうことが促されます。
保存療法を行っても、何度も何度も繰り返すようであれば最終的に手術をいう選択肢も考えられます。手術では引っかかりが生じている腱鞘を開くことで腱がスムーズに通れる手術を行います。