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膝蓋下脂肪体炎(ホッファ病)とは?
ホッファ病とは、膝蓋下脂肪体という組織が炎症を起こして痛みを引き起こす障害です。
膝の手術の後や膝のケガでの炎症の後に発症することが多いです。
手術やケガで膝を動かさないことをきっかけに膝蓋下脂肪体の動きが悪くなることで、膝関節に脂肪体が挟み込まれ痛みを生じます。
膝蓋下脂肪体とは?
膝蓋下脂肪体は、膝蓋靱帯の深部にある脂肪の塊です。
大腿骨・脛骨・膝蓋骨の隙間に存在します。
膝というと、半月板や靱帯などの軟部組織が主要しされていますが、この膝蓋下脂肪体も膝の動きに重要な役割を担っています。
膝蓋下脂肪体の役割とは?
膝蓋下脂肪体は、膝の関節の動きに合わせて膝関節の中を形を変えて動いています。
膝を曲げていると膝の関節の中に押し込められた状態で、膝を伸ばしていくと膝蓋骨と共に引き出されてきます。
膝蓋下脂肪体の役割は、
・外力に対するクッション
・摩擦や刺激による負担の軽減
・潤滑作用
などが、大きな役割です。
膝蓋下脂肪体は、膝の動きを潤滑よくするために重要な役割を果たしているのです。
膝蓋下脂肪体炎の原因
歩きすぎやスポーツなどの運動による過負荷
- 体重の増加
- 打撲や捻挫などの外傷
- 反張膝(膝が過度に伸びている状態)
- 他の膝の障害による二次的な要因(半月板損傷、変形性膝関節症、膝の手術など)
以上のような原因が挙げられます。
膝蓋下脂肪体炎のメカニズム
外傷や繰り返される刺激により脂肪体の柔軟性が失われる
転んで膝をぶつけたなどの外傷や繰り返し行われるジャンプなどの刺激によって脂肪体自体に小出血や炎症が起こります。
膝蓋下脂肪体炎に炎症が生じたことで、脂肪体の繊維化が起こり脂肪体自体の柔軟性が低下してしまうのです。
柔軟性が失われることで、膝関節に脂肪体が挟まれて痛みが出現する
膝蓋下脂肪体は、膝の関節の中を形を変えて動いています。
しかし、脂肪体自体の柔軟性が低下しているとうまく形を変えられなくなってしまうため関節に挟み込まれてしまい痛みが発生してしまうのです。
膝蓋下脂肪体炎の診断
膝蓋下脂肪体炎は、レントゲンでは膝蓋下脂肪体は写らないため超音波検査やMRI検査が有効です。
また、以下のような検査方法があります。
膝蓋下脂肪体炎を診断するポイントとは?
膝蓋下脂肪体炎がどんなものなのかは理解して頂けただろうか。
もしかしたら膝蓋下脂肪体炎かもと思われたのではないだろうか。
では、実際に膝蓋下脂肪体炎か判断するためのポイントを紹介しよう。
膝を伸ばした状態で、膝の下を押すと痛い
膝蓋下脂肪体炎の場合、膝を伸ばしたまま膝の下を押すと痛みが出る場合があります。
膝蓋下脂肪体の上には、膝蓋靱帯が通っています。
そのため、膝蓋靱帯がピンと張っていると膝蓋下脂肪体は触ることが難しくなってしまいます。
なので、膝を伸ばして膝蓋靱帯が緩んでいる状態で押すと脂肪体に刺激が伝わり痛みが発生する場合があります。
膝を反らすと痛い
膝蓋下脂肪体炎の場合、膝を反らす(過伸展)と痛みがでる場合があります。
膝を反らすことで、脂肪体の挟み込みを誘発します。
そのため、膝蓋下脂肪体炎になっていると脂肪体が挟まれて痛みがでる場合があります。
脂肪体を両脇から保持して膝を伸ばすと痛い
脂肪体を両脇から圧迫して膝関節90°曲げた位置から膝を伸ばしていき痛みがでる場合、膝蓋下脂肪体炎の可能があります。
このような3つのテストを行って頂き、痛みがでる場合は膝蓋下脂肪体炎の可能性が高いと言えます。
膝蓋下脂肪体炎の治療
膝蓋下脂肪体炎の治療法は、保存療法と手術療法の2つの方法があります。
保存療法
外科的な処置(手術など)を行わない治療法
安静
まずは、安静にすることが大切になります。
床に膝をついたり、ジャンプやダッシュといった激しい運動は控えましょう。
アイシング
急性期は、氷で冷やすことが炎症を抑えて痛みの軽減をしてくれます。
超音波や干渉波などによる物理療法
超音波や干渉波などの使用することで、炎症を抑えたり脂肪体の柔軟性を高める効果があります。
手技療法
あまり行われる事は少ないですが、痛みが長期間続いていたり、強い痛みが生じている場合は関節鏡下手術にて膝蓋下脂肪体を部分摘出することもあります。
膝蓋下脂肪体炎のリハビリ
膝蓋下脂肪体炎のリハビリは、膝蓋下脂肪体の柔軟性を向上させることが目的になります。
本来、膝蓋下脂肪体は膝の曲げ伸ばしをする際に関節の中を伸びたり縮んだりして形を変えて動いているため、リハビリではその動きを取り戻していきます。
膝蓋下脂肪体のマッサージ
膝蓋下脂肪体は、膝蓋靱帯の真下の位置にあります。
そのため、膝蓋靱帯の深部を左右から圧迫しながら左右に動かすことで脂肪体の可動性が広がり柔軟性が出てきます。